植物園キューガーデンが教えてくれる植物への畏敬
理想の庭といえば、まず頭に浮かんだのは英国王立の植物園「キューガーデン」です。
約130ヘクタール(約39万坪)の広大な敷地に、5万を数える草花や樹木が植栽されています。
キューガーデンには行ったことがないけれど、大きな温室に憧れました。その写真を初めて見たのは『National Geographic』誌でした。
National Geographicをネットで検索すると、たとえばこんな記事がみつかります。こうしたキューガーデンの活動を誌面上で見て、キューガーデンの植物研究機関としての印象が強く残りました。
気候変動でアラビカ種コーヒーが絶滅?
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7042/
世界中の人々が愛飲するコーヒーは、1日に16億杯が消費されている。しかし、イギリスの王立植物園キューガーデンがこのほど発表した研究結果によると、一番飲まれている野生のアラビカ種が2080年までに絶滅する恐れがあるという。気候変動が原因だ。
東京の庭でコーヒーが飲みたい
いっぽうで昔は、原田知世がブレンディを飲んでいるTVCMの広い庭に憧れたものです。家の周りは森みたいで、長野県とかに住まないと無理かなぁって感じていました。
コーヒーは、ほろ苦くてほの甘いイタリア系ラテがわたしの好みなのですが、イリーの公式サイトを訪れると『illyイリーのブレンドは4大陸9種類のアラビカ種コーヒーを100%使用しており』とあり、上のニュースはひとごとではないと思いました。
おいしいコーヒーになかなか手が届かない日が、やってくるかもしれませんね。
研究機関としての顔も持つキューガーデンの存在は、植物は人にとって食糧や酸素の供給源であり、素敵な時間をくれる存在だけど、植物は決して人のために生きるわけではない、という事実を思い出させてくれます。
そしてわたしは、植物や自然界に対するつきることのない畏敬の念を持ち、たとえ東京の人工的な庭づくりにおいてもそれらのことを忘れないでいようと思います。
理想の庭は里山の「借景」
料理を愛する人は、フードロスを無くしたいときっと思うはずです。でも日々生活を過ごすなかでフードロスをゼロにするのはすごく難しいです。
庭を好きな人もきっと、植物の命は無駄にしたくありません。でも人工的な庭を持つこと自体が、植物や草花の命を無駄使いすることに少ながらずつながっています。
わたしは生きているだけで、フードロスもするし、植物や草花の命も無駄使いしてしまうのです。
その後悔をできるだけ減らそうとすると、理想の庭は「借景」なのだと思います。
都会ではなく里山に住み、山の斜面と向かい合う大きな掃き出し窓とデッキのある家を建てる。
里山も人工的ですが、自然と生活がせめぎあう境界に住むという点で、都会の家の庭とはもう別物です。
そんな「借景」の庭を理想としながら、現実の東京の片隅の小さな庭と向き合っています。